
体験型店舗・ショールームの内装|展示・体験・接客を考えた空間づくり
体験型店舗やショールームでは、商品を並べて見せるだけでなく、実際に触れる、試す、説明を受ける、相談するといった来店者の行動を想定した空間づくりが重要です。
そのため、一般的な物販店舗とは異なり、展示什器だけでなく、デモンストレーションスペース、体験スペース、モニター、電源、接客スペースなど、複数の機能を組み合わせて計画する必要があります。
見た目の印象だけを優先すると、「商品はきれいに展示できたものの、実際には試しにくい」「説明中に通路を塞いでしまう」「配線が目立つ」といった問題が起こることがあります。
本記事では、体験型店舗・ショールームの内装を検討する際に押さえておきたいポイントを、展示、体験、接客、什器、設備、施工などの実務面から整理します。
体験型店舗・ショールームは来店者の行動から考える
体験型店舗やショールームを計画する際は、「何を置くか」だけでなく、「来店者に何をしてもらうか」を整理することが重要です。
例えば、商品を見るだけなのか、実際に操作するのか、スタッフから説明を受けるのか、その後に着席して相談するのかによって、必要なスペースや設備は変わります。
まずは、来店者の行動を次のような流れで整理すると、必要な機能を考えやすくなります。
- 商品・サービスを知る
- 展示を見る
- 実際に触れる・試す
- スタッフから説明を受ける
- 比較・検討する
- 相談・商談を行う
すべての店舗にこれらの機能が必要なわけではありません。どの体験を重視するかによって、売場や什器に必要なスペースを配分します。
展示スペースは商品と説明をセットで考える
ショールームでは、商品そのものを展示するだけでは、特徴や違いが十分に伝わらない場合があります。
商品展示と合わせて、説明パネル、サイン、モニターなどを配置し、来店者が自分で情報を確認できるようにする方法があります。
展示台・展示什器
商品のサイズ、重量、見る方向などに合わせて選定します。複数の商品を比較する場合は、同じ条件で見られるよう配置を揃えることも重要です。
展示物を固定する場合は、商品の入れ替えやメンテナンスができる構造になっているかも確認します。
説明パネル・サイン
商品の特徴や仕様、利用方法などを伝えるために使用します。情報量が多すぎると読みづらくなるため、展示物との位置関係や来店者が読む距離を考慮して設置します。
モニター・デジタル表示
映像や操作画面を使って、実物だけでは伝えにくい機能や利用場面を紹介できます。
モニターを設置する場合は、電源、通信環境、配線、機器の交換やメンテナンス方法まで事前に検討しておく必要があります。
体験スペースは「使っている人」と「待っている人」を想定する
商品を実際に操作したり、サービスを体験したりする店舗では、体験する人だけでなく、その周囲にいる人の動きも考える必要があります。
一人が商品を体験している間に、同行者や次に体験する人が周囲に立つことがあります。体験スペースだけを最小限で設計すると、周辺の通路まで人が広がってしまう可能性があります。
体験に必要な動作範囲、スタッフの説明位置、待機する人のスペースまで含めて計画することが重要です。
体験に必要な動作範囲を確認する
商品によっては、座る、立つ、手を伸ばす、商品を動かすなど、一定の動作スペースが必要になります。
図面上で商品が収まるだけで判断せず、実際に利用する人の動きまで想定して必要なスペースを確保します。
スタッフが説明しやすい配置を考える
体験型店舗やショールームでは、スタッフによる説明が重要な役割を持つことがあります。
展示什器の前に来店者が立ったとき、スタッフが横から説明できるのか、複数人に説明する場合に十分なスペースがあるのかなど、接客時の位置関係も確認します。
展示物と通路の間隔が狭すぎると、説明中の来店者と通行する人が重なり、店内を移動しにくくなることがあります。
商品を見るためのスペースと、説明を受けるためのスペースを同じものとして考えず、実際の接客方法から必要な余白を検討することが大切です。
相談・商談スペースは用途に合わせて設ける
商品の体験後に詳しい相談や見積、商談などを行う場合は、着席できるスペースが必要になることがあります。
短時間の説明であれば展示スペースの近くにテーブルを設ける方法もありますが、相談時間が長い場合や個別情報を扱う場合は、展示エリアから少し離れた場所に商談スペースを設けることも検討します。
商談席を増やしすぎると展示・体験スペースが減るため、想定する来店者数や接客方法に合わせて必要な席数を考えることが重要です。
電源・配線は内装計画の早い段階で確認する
体験型店舗やショールームでは、展示機器、モニター、照明、PCなど、多くの機器で電源を使用することがあります。
什器の配置を決めた後から電源を追加しようとすると、床や壁に配線が露出したり、延長コードが通路を横切ったりする可能性があります。
そのため、使用する機器を早い段階で洗い出し、必要な電源容量やコンセント位置を内装計画と合わせて検討することが重要です。
什器内部の配線も考える
展示台やカウンターにモニターや機器を組み込む場合は、什器内部に配線を通すことがあります。
配線を見えにくくするだけでなく、機器の交換やメンテナンスができる構造になっているかも確認しておく必要があります。
照明は展示物の見え方と体験のしやすさから考える
照明は店舗全体の雰囲気だけでなく、展示物の見え方にも影響します。
商品に光を当てるスポット照明を使用する場合は、来店者が商品を見る位置からまぶしくないか、商品に影ができすぎないかなどを確認します。
モニターや画面を使用する展示では、周囲が明るすぎると画面が見えにくくなることもあります。展示内容に合わせて照明を計画することが重要です。
展示内容の変更に対応できる什器を検討する
ショールームでは、新商品への切り替えや展示内容の更新が行われることがあります。
特定の商品だけに合わせて什器を製作すると、商品サイズが変わった際に什器をそのまま使用できない場合があります。
展示台の一部を交換できる構造にする、棚位置を変更できるようにする、移動可能な什器を組み合わせるなど、将来の展示変更を想定した設計も検討します。
長期間使用する店舗ほど、開店時の完成形だけでなく、その後どのように展示内容が変化する可能性があるかを考えておくことが重要です。
体験型店舗・ショールームの施工前に確認したいポイント
- 来店者にどのような体験をしてもらうか
- 展示する商品・機器のサイズと重量
- 商品を見る・触る・操作するために必要なスペース
- スタッフが説明する位置と動線
- 体験待ちが発生した場合のスペース
- 相談・商談スペースの必要性
- モニターやデジタル機器の使用
- 必要な電源容量・コンセント位置
- 配線を通す場所とメンテナンス方法
- 展示内容の変更に対応できる什器
- 搬入経路や施工時間などの施設条件
展示・体験・接客・設備を一体で計画する
体験型店舗やショールームでは、内装、展示什器、機器、電源、サイン、接客スペースなどが相互に関係します。
例えば、展示台の位置を変更すると、電源位置やモニターの配置、来店者の動線にも影響します。個別に計画を進めると、施工段階で調整が必要になることがあります。
そのため、「何を展示するか」だけでなく、「どう体験するか」「どこで説明するか」「どの設備を使うか」まで整理し、内装・什器・設備を一体で計画することが重要です。
体験型施設の施工事例
江戸川大学 e-sports Lab
体験型の空間では、内装だけでなく、利用する機器や設備、利用者の動きまで考慮した空間づくりが必要です。
「江戸川大学 e-sports Lab」の施工事例では、実際の施設空間や設備を含めた空間づくりをご覧いただけます。
まとめ|「何を見せるか」だけでなく「何を体験してもらうか」から考える
体験型店舗・ショールームの内装では、商品をきれいに展示することだけでなく、来店者が実際に触れたり、試したり、説明を受けたりする場面まで想定することが重要です。
展示什器、体験スペース、接客、電源・配線、照明などを個別に考えるのではなく、来店者の一連の行動から必要な機能を整理することで、使いやすい空間を計画しやすくなります。
さらに、展示内容の変更や機器のメンテナンスまで想定しておくことで、完成時だけでなく、その後も運用しやすい店舗・ショールームにつながります。


